デジタルカメラにおいてクロップ(英語:Crop)とは、イメージセンサーのうち中央部分のある範囲のみを使って撮影する機能を言う。
クロップ機能の目的、効果、メリット、デメリットは次の通りである。
例えば、ライカQ2には焦点距離28mmの単焦点レンズが固定で付いている。ライカQ2のクロップ機能を使うと、イメージセンサーの中央部分のみを切り取ることにより35mm、50mm、75mmレンズの画角で撮影することができる。
ライカの伝統的な(レンジファインダーのブライトフレームが対応する)単焦点レンズの画角は28mm、35mm、50mm、75mm、90mm、135mmでありクロップ機能を使うことにより今までM型ライカを使っていた方は身についている感覚と同じ28mm、35mm、50mm、75mmの画角で撮影できるメリットは大きい。
ライカQ、Q2でクロップ撮影を行う際はレンジファインダーと同様に電子ビューファインダー内に撮影画角の範囲がブライトフレームのように表示される。つまり撮影する範囲の外側もファインダーで見ることができる。目の前に見える光景から撮影範囲を切り取る感覚で撮影できるのでより良い構図を素早く見つけたり、撮影範囲の外側から撮影範囲に入ってくる瞬間のタイミングを捉えやすいというメリットがある。
ASP-Cカメラで使うために設計されたレンズをフルサイズセンサーカメラで使うことができるというメリットがある。ASP-Cセンサー用のレンズは、フルサイズセンサー用レンズと比べてイメージサークルが狭い。クロップ機能を行わずにフルサイズセンサーカメラでASP-C用レンズを使うと四隅が蹴られるなどしてしまう。手動でトリミングを行えば中央部分のみを切り取って使うことはできるが撮影した写真を毎回トリミングするのは面倒である。
そこで役立つのがクロップ機能だ。例えばニコンでは、フルサイズ(24mm x 36mm)のセンサーをFXセンサー、APS-Cサイズ(おおよそフルサイズの2/3の範囲)のセンサーをDXセンサーと呼ぶ。APS-Cセンサーを使うことによりカメラやレンズを小型化できまた製造コストも安くなるので低価格でカメラシステムを組むことができる。ニコンの純正カメラ、ニコンの純正レンズを使用すると、レンズがフルサイズ用かAPS-C用かを自動的にカメラが認識して自動的にクロップ撮影を行うことができる。
一般的にカメラ用のレンズは撮影範囲の中心に近いほど画質が良くまた減光も少ない(周辺減光がある)。フルサイズセンサーカメラでクロップ撮影を行うことによりレンズの中心に近いエリアのみを使って撮影することができるので写真全体の画質が良く見えるというメリットがある。
その一方、撮影データの画素数は小さくなるというデメリットも発生する。
カメラによっては、クロップ機能を使うことにより連写性能を上げられる機種も存在する。クロップ撮影を行う場合、イメージセンサーの中央部分の一部分のみを使って撮影するためカメラのデータ処理量が減り処理速度を向上できる。例えば、ニコン D3(旧機種)は、FXフォーマットと呼ぶフルサイズセンサー撮影の場合は最大9コマ/秒、FXフォーマットの約2/3の範囲を使うDXフォーマット(画角は1.5倍)で撮影すると最大11コマ/秒の速度で連写を行うことができる。
クロップ撮影はカメラ内のイメージセンサーの中央部分(範囲はクロップ設定による)のみを使うのでクロップ撮影を行わない場合と比べて撮影画素数が少なくなるというデメリットがある。
例えば、ライカQ2の場合クロップ撮影時の画素数は次の通りです。
クロップ設定 | 撮影画素数 |
---|---|
クロップ無し(28mm) | 4700万画素 |
35mm | 3000万画素 |
50mm | 1500万画素 |
75mm | 700万画素 |
ライカQ2は4700万画素のフルサイズセンサーが使われているので上記の通りクロップ撮影を行った場合も50mmで1500万画素、75mm撮影でも700万画素もありA4サイズの写真として使う場合、またはウェブ上で利用する写真としてなら十分な画素数である。 クロップ撮影で画素数が減ることよりも、28mmの単焦点レンズをズームレンズのように、また中望遠レンズてとして使えること、1本のレンズなのに複数の単焦点レンズを所有しているような効果があるメリットの方が大きいと言える。
クロップ撮影するということはセンサーの中央部分のみを使うことなので、フルサイズセンサーで撮影した写真を中央の2/3の範囲のみ選んで4辺をトリミングすれば結果的にクロップ撮影したのと同じ写真を撮影することができる。
トリミングとは、撮影した写真のうち、無駄な部分を切り取って必要は範囲のみを1枚の写真にすることであり、少し映り込んでしまった無駄なエリアを取り除いたり、構図を整えたりする目的で使う。
クロップは、センサーの中央を中心として4辺を自動的に切り取ることなのでトリミングとは使用目的が異なる。
一般的にデジタルズームはイメージセンサーの中央を中心点としてデジタル的に拡大して写真データを記録するものである。クロップすると4辺が切り取られて画素数が小さくなるが、デジタルズームはクロップ前と同じ画素数までデジタル的に拡大処理を行うものなので画素数は同じであるものの解像度が低くなる(ぼやけてしまう)。
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