中古レンズの選び方と注意点を分かりやすく紹介

2019/8/11更新

中古レンズの選び方と注意点

ライカ 中古レンズ
ライカ 中古レンズの例(筆者撮影)

中古レンズの選び方と注意点について分かりやすく解説する。

中古レンズのメリット、デメリット

一眼レフレンズ、ライカのレンズを購入する際に中古レンズを選ぶメリット、デメリットとは?

メリット:オールドレンズならではのレンズの味を楽しめる

ライカレンズの中古レンズの一番のメリットはオールドレンズならではのレンズの味を楽しめるということだ。

レンズの味って何それ?美味しいの?と思う人もいるかも知れない。新品レンズを購入しようとすると原則現在メーカーから発売されている現行レンズしか購入することができない。レンズ購入の対象を中古レンズまで広げると何十年も昔に発売された古いレンズ、オールドレンズを選ぶこともできる。オールドレンズには逆光に弱かったり、周辺減光が気になったり、モノクロ写真時代のレンズはカラーバランスが若干おかしかったり、また描写が現代レンズほどシャープにならずにソフトな写真が撮影できたりするが、それがレンズの味とも言える。現在のカリカリにシャープな写真と比べてソフトな印象に写る写真を今見ると、逆に新鮮で美しく見えたりする。

ライカのオールドレンズには魅力的なレンズが多い、また同じ型番のレンズでも初期、前期、後期とレンズ構成が変わっているものもあり世代毎に写りは異なる。インターネット時代の今、ネットを検索すると様々なレンズ作例を探すことができる。あなた好みのレンズを見つけてさあ、中古のオールドレンズを探してみよう。

メリット:同じレンズを安く入手できる

現行販売レンズでも中古レンズなら新品よりも安く入手できるというメリットがある。中古レンズは全て1点ものであり、同じ状態でも販売店によっては価格が異なる。

デメリット:中古レンズには当たり外れがある

中古レンズには当たり外れがある。同じ型番のレンズでも保管状態や使用状況によってはレンズに傷があったり、カビがあったり、またピントリングや絞りがうまく作動しなかったりすぐに故障してしまったりと外れレンズも存在する。外れレンズを引かないために、そして掘り出し物の当たりレンズを安く購入するためにも、中古レンズを購入する前にしっかりと本ページを確認して欲しい。

販売店によっては中古レンズに保証が付いていることもある。購入から1週間程度の初期動作保証であったり、半年間以上の保証を付けているショップも存在する。特にレンズ現物を事前にチェックできないネット通販やネットオークションで中古レンズを購入する場合は、ジャンク品を購入する場合以外は少なくとも初期動作保証があるか、説明に無い不具合が見つかった場合は返品可能かを事前に確認しておきたい。

中古レンズ、購入時のチェックリスト

ネット通販などの事前に現品チェックが不可能な場合を除き、中古レンズを店舗で購入する際は購入時の現品チェックは必須だ。中古レンズを買う際にどのような項目をチェックすれば良いかのチェックリストは次の通り。

チェック項目 チェック内容
レンズの状態ランクを確認する レンズの状態を売主に確認する。ネットショップで購入する際はレンズ状態説明を確認する。
レンズガラスの状態確認 カビが発生していないか?クモリ、キズ、内部のホコリ、バルサム切れをチェックする。詳細は下記に記載。
フォーカスリング 最短距離から無限遠までスムースにフォーカスリングが回るか。引っかかりやがたつきが無いか。無限遠にピントが合うか。
絞りリング スムースに動作するか、絞り羽は正しく動作するか。
外観チェック キズや汚れ、へこみの状態を確認
マウント面をチェック マウントの状態を確認する
AF、自動絞り AFレンズ、自動絞りレンズは実際に使用するボディに装着してAF/MF動作、自動絞りの作動、異音がしないか確認する。
各種スイッチを動作確認 ライカレンズの場合、無限遠固定スイッチが付いているオールドレンズ、沈胴レンズの沈胴操作、固定が正常に機能するかどうかを確認する。現代のレンズの場合、AF/MFスイッチ、絞りロックスイッチ、マクロ切り替えスイッチ、ズームレンズ固定スイッチなど全てのスイッチの動作をチェックする
保証、返品ルールを確認 初期動作保証があるか、保証期間は?返品可能か。
付属品の有無 フード、前後キャップ、保護フィルターの有無、純正品か社外品か。ケースや説明書の有無。
ネットショップは評価を確認 ヤフオク、メルカリ、ネットショップなど現品チェックを行えない場合は出品者の評価を確認する。

レンズの状態ランクを確認する

レンズの状態を売主に確認する。ネットショップで購入する際はレンズ状態説明を確認する。ある中古ショップでは次のような状態評価がされている。

外観状態のランク 説明
美品 ほとんど使用されていないかきれいな中古品(クラシックカメラ、レンズでは極上品)
美品 多少の使用感があるものの、外観のきれいな中古品
良品 通常使用されている程度良好な中古品
並品 外観がきれいではないものの、使用上問題がないお買い得な中古品
難有品 一部不具合箇所や機械的制限がある訳あり中古品
ジャンク 動作未確認、保証無し。部品取り用。使用不能品。

状態ランクが低くなるほど商品は安くなるが、その分動作に不具合があるか使えないリスクが高まる。なお、レンズ出品になれていない出品者からネットショップで購入する際は、レンズ知識がないので全てジャンク品として出品している場合もある。写真を確認してリスクを分かった上で購入することにより掘り出し物を安く購入できるチャンスでもある。

レンズガラスの状態を確認する

カメラレンズはレンズガラスが命。ぱっと見レンズの状態が良く見えてもレンズ内のクモリやカビでコントラストが高い場面で撮影すると明るい部分が暗い部分に滲んで見えたり、もやがかかったように写ってしまう場合もある。事前にしっかりとレンズガラスをチェックしておきたい。

レンズガラスの状態を確認する一番簡単な方法は、ライトに透かして見ることだ。できれば小型のLEDライトを持参しレンズを覗いてレンズの向こうからチラチラと光を当ててレンズの状態を確認する。LEDライトがない場合は、店内のライトなどに向けてレンズ内部をチェックしよう。

カビの生えたレンズは清掃するのにもコストがかかり、また清掃したとしてもカビを完全に除去することはできない。カビの生えたレンズの購入は避けた方が良い。カビにも種類がある。丸い状態にいくつかのカビが見えるもの、ポツポツと小さなカビが見えるもの(今後広がる可能性あり)、蜘蛛の巣状に見えるもの、線状のもの、レンズが曇って見えるもの。

また、レンズの周辺部の色が変わって見えるものは、バルサム切れという状態かも知れない。中古レンズ・カメラ専門店で購入する際はバルサム切れの場合はその旨表示されてる場合もあるが、ネットオークションやフリマで購入する際は出品者がバルサム切れ自体を知らないこともあるので事前に写真などで確認しておくこと。

レンズを前面から見て綺麗に見えても、ライトを奥から当てて光りに透かして見るとレンズが曇って見えることがある。クモリのあるレンズはコントラストの強い場面で光りが滲んだり、全体的にもやがかかったように写ってしまうのでよほど安いレンズを納得して購入できない限り避けた方が良い。ネットショップオークションで購入する際に、出品者はクモリに気づいていないこともあるのでクモリがあるかどうか事前に質問して確認した方が良いだろう。

なお、レンズ内の細かいホコリはどうしてもレンズ内に侵入してしまうものでホコリが多少あったとしても写りにはほぼ影響しない。ホコリは大丈夫であるがクモリやカビは大きく写りに影響する。

次にレンズの手前側から斜めにライトを当てて表面のキズの状態も確認する。深い傷があるもの、キズの数が多いもの、表面のコーティングが剥がれているものはコントラストの激しい場面で色が滲んで写ってしまうことがあるが、オールドレンズの場合多少のキズやコーティング剥がれは仕方ない。

部品撮り目的で無い限り、絶対に購入してはいけないのがカビが生えたレンズだ。

フォーカスリングを回してチェックする

フォーカスリングを手で回してみよう。途中で引っかかりは無いか、異音はしないか、適度な粘性があるか、緩すぎないか、違和感はないか確かめよう。一眼レフレンズの場合、ファインダーを覗いてちゃんとフォーカスが変化するか、無限遠が出るか確かめよう。無限遠が出ないレンズ、または無限遠よりもさらに向こうにフォーカスしているように感じるレンズはメンテナンスにコストがかかるので避けた方が良いだろう。ライカのレンズを購入する際もできればEVFを装着してピント確認したい。

絞りリングを回してチェックする

絞りリングを手で回してみよう。途中で引っかかりは無いか、異音はしないか、適度な粘性があるか、緩すぎないか、絞り値のメモリ通りにクリック感があるか、メモリとずれていないか、違和感はないか確かめよう。レンズを覗いて絞り羽根が正常に動作しているように見えるか確かめよう。絞り羽にキズが付きすぎていないか、絞り羽に油が大量に付着していないか、さびていないか確かめよう。

古いライカレンズの場合、絞り羽に多少のキズがあっても撮影には影響しないが、キズが付きすぎているレンズは適正にメンテナンスされていないか酷使されているレンズかも知れない。絞り羽が正常に動作しないレンズは修理にコストがかかったり、または修理できない場合もあるので購入は避けた方が良い。

一眼レフ、ミラーレスカメラ用の自動絞りレンズレンズをチェックする際はカメラに付けて絞りを回して絞り込みレバーを作動させて実際に絞り羽が正常作動するか、可能なら実写を行い適正に絞り羽が作動しているか確かめよう。

ズームレンズは、ズームリングを動かしてチェックする

ズームリングを手で動かしてみよう。途中で引っかかりは無いか、異音はしないか、適度な粘性があるか、緩すぎないか、絞り値のメモリ通りにクリック感があるか、違和感はないか確かめよう。古い直進ズームレンズは粘性が無くなりスカスカにズームリングが動いてしまうことがあるのでカメラバッグに入れているだけでレンズが伸びきってしまうなど多少の動作に支障がでる場合もありよほど安いレンズを分かった上で購入するので無い限り購入は避けた方が良いだろう。

レンズ外観をチェックする

打ち傷へこみキズが無いかチェックしよう。通常利用に伴うスレや汚れ程度なら動作に支障は無いが打ち傷、へこみキズがある場合はレンズを落としてしまった可能性がある。レンズは精密機械のため、レンズ内部にダメージがある場合もあるので大きな打ち傷、へこみがあるレンズは動作確認を念入りに行おう。

レンズ全面のフィルター枠がゆがんでいないか、へこんでいないかチェックする。ゆがみがある場合、保護フィルターが付けられないこともある。可能なら、保護フィルターを付けて外すチェックも行おう。古いライカレンズの場合、保護フィルター枠のネジネジが現代のフィルターのネジピッチと異なるので無理にフィルターを付けたり、または付けっぱなしにして内部が少しさびてフィルターが取り外しできない場合もあるので注意が必要だ。将来レンズのオーバーホールメンテナンスを行う際にレンズ全面のフィルターを外してレンズを分解するので、フィルターを取り外しできないレンズはメンテナンスも行うことができない。

マウント面をチェックする

マウント面をチェックすればそのレンズがどれくらい使われたかチェックすることができる。マウント面にほとんどキズが付いておらず新品に近い輝きが見られるレンズはあまり使われずに防湿庫の中でずっと保管されていた可能性がある。マウント面にキズが多いレンズは何度も取り付け取り外しされ酷使されたレンズかも知れない。

長期間保管され続けたレンズはマウントに緑色の粉のような物が付着している場合がある。緑色の粉の原因は不明であるが麺棒にアルコールを付けて清掃すればほとんど取り除くことができるのでそれほど気にしなくて良い。

オートフォーカスレンズ、自動絞りレンズでマウント面に電極が付いて居るレンズは電極がさびていないか、金色の電極にクモリが無いかチェックしよう。

AF、自動絞り動作をチェックする

AFレンズ、自動絞りは実際にカメラボディーに付けて正常似動作するか確かめよう。動作時に異音がしないかもチェックしよう。

レンズにAF/MF切り替えボタンが付いている場合はAF動作するか、正常にMF操作可能かチェックする。レンズによっては、スイッチをAFにした状態でもMF操作を行えるレンズがほとんどであるが、サードパーティ製の一部レンズはスイッチをAFにするとMF操作できないものもある(使い勝手が悪い)。

ニコン製のオートファオーカスレンズは、マウント面にマイナスネジのような物が一カ所付いて居るレンズはAF接点を使いボディー内モーターでオートフォーカスを駆動させるレンズだ。現代のニコンのエントリー機では、AF接点に対応しないものもある。ニコンの中級機、プロ用機種を使う場合は問題無いがAF接点レンズを購入する際は自分の使っているレンズボディがAFに対応するかどうかチェックしておこう。

各種スイッチを動作確認する

ライカレンズの場合、無限遠固定スイッチが付いているオールドレンズ、沈胴レンズの沈胴操作、固定が正常に機能するかどうかを確認する。現代のレンズの場合、AF/MFスイッチ、絞りロックスイッチ、マクロ切り替えスイッチ、ズームレンズ固定スイッチなど全てのスイッチの動作をチェックする。

保証、返品ルールを確認する

初期動作保証があるか、保証期間は?返品可能か。事前に現品チェックできないネットショップで購入する際は初期動作保証があるショップで購入するのが無難だ。返品不可のショップで購入する際は事前に現物、または写真や商品説明文を見てリスクを理解した上で購入しよう。返品不可であればリスクもあるが掘り出し物レンズを安く購入できるチャンスもある。

付属品の有無

付属品は何があるかチェックしよう。フード、前後キャップ、保護フィルターの有無、純正品か社外品か。ケース、元箱、説明書等の有無を確認する。通常購入する際は新品同様の品で無い限り元箱などの付属品は付いてこない。ネットショップで購入する際も新品同様と書かれていても元箱が付かないことがある。気になる方は事前に出品者に問い合わせてみよう。

ネットショップは出品者の評価を確認する

ヤフオク、メルカリ、ネットショップなど現品チェックを行えない場合は出品者の評価を確認する。悪い評価が1件もなく、良い評価が多いショップなら安心して購入できる。なぜなら、。悪い評価がゼロ件、良い評価が数百件以上ある出品者は悪い評価を付けられたく無いので購入したレンズに不具合がある旨伝えると返金、または返品に応じてもらえる可能性があるからだ。

過去の評価を見て中古レンズの取引が多いかどうかもチェックしよう。様々な中古レンズを取り扱っている業者なら事前のレンズチェックをしっかりと行って居る可能性もあるがレンズ以外の中古品を販売している業者ならレンズの知識が少ない買取業者の可能性がある。レンズ取り扱いになれている業者を選んで購入すれば外れを引く可能性も引くなる。逆にレンズに詳しくない業者から購入することにより掘り出し物の当たりレンズを安く購入できるチャンスもある。

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